漫画「どうして私が美術科に!?」に出てくる竹内黄奈子という少女をご存知でしょうか? 黄土色のシャツに茶髪のツインテールで、眠そうな顔をしている、あの竹内黄奈子です。こいつのポテンシャルがやばいよね、という話をします。ほんとにこいつはな、やべえんだぞ。本人も自覚してないだろうけど、やべえんだよ。マジで。ダークホースだよ(なんの?)。
※本記事には「どうして私が美術科に!?」1巻のネタバレを含みます。
そもそも「どうして私が美術科に!?」とは、どのようなお話なのでしょう。
願書の提出ミスにより、間違って美術科に入学してしまった酒井桃音。 当然のごとく居残り三昧な毎日ですが、仲間がいればそれでも楽しい!力を合わせて目指せ進級&卒業!きららの次世代を代表する、女の子の尊さがいっぱい詰まった著者の初コミックスです。
そうです。このマンガの主人公は酒井桃音です。じゃあ竹内黄奈子ってなんなんだよ!? ……となるわけですが、それは第1話のこと。
間違えて美術科に入ってしまった桃音は、そのことを担任に伝えようとするも、その事実があほすぎるが故、伝えられずに、しぶしぶ課題のデッサンの居残りをするところから物語が始まります。そこで最初に出会う少女が、先に紹介した竹内黄奈子、というわけなのです。
その際、桃音が間違えて美術科に入ったことを最初に話したのも、この竹内黄奈子でして。「入る科間違えるバカとかいるの?」と冷たくあしらわれるも、いろいろ話すなどして打ち解けていきます。そして最終的に、桃音が「少しずつでいいから、美術の楽しさを知っていきたい」と、美術科としてやっていくことを決心する。ここまでが第1話の大筋。
……この第1話で、黄奈子が桃音に対して「鼻みょん(鼻を指で押さえる行為)」をする場面があるのですが……。ちょっと待ってください。出会って早々の人間に、鼻みょんというスキンシップを図ったりしますか!? ただ単に抱きつくとか、頭をなでるとかではない、鼻みょんという特異性。ここに、黄奈子の桃音に対するポテンシャルの高さが表れています。この鼻みょんですが、なんと(?)2巻終了時の段階では、桃音にしかしてないのです。この時点で、桃音のことを、何かしらの形で特別視している、ということがお分かりいただけましたでしょうか。
そのあとさらに、打ち解けた桃音に対して、黄奈子は言うわけです。
「私だって好きではいったわけじゃないのに…
でも 私も桃音が美術科に入ってくれて
出会ってよかったって思った
桃音といると 美術が好きになれるような…
そんな気がするよ」
これですよ。こんなキザなセリフを、出会ったばかりの女の子に言うわけです。何かしらの特別な感情がないと、こんなイケメンなセリフはまず出てこないと思うのです。もしかしたら、その場のノリで適当に言ったセリフかもしれませんが、そういう少女なんです、竹内黄奈子は。わかります? このポテンシャルの高さ。
普段眠そうな顔してる女の子に、素面でこんなことようなことを言われてみてください。グッときませんか?
……話がそれましたが、続く第2話では、浦上紫苑と、河鍋蒼という人物が登場します。桃音はこの2人に、間違って美術科に入ったことを話すのですが、2人だけの秘密だと思っていた黄奈子は、明らかにいけ好かない反応をします。それを見た桃音は「ご、ごめんなさい黄奈子ちゃん……」といいながらきゅん♡としてしまうのです。やばいですよね。第2話にして、2人の関係性が確立されているというこの……やばい! そういうとこやぞ!(??)
その後も、塑像の課題を朝早くからやりに行く桃音に対し「桃音がいるから」という理由で付き添ったりと、よくよく見ると、黄奈子が桃音と一緒にいるシーンが散見されます。
……さて、話は進んで第12話。この回は、竹内黄奈子の家庭環境が分かる、竹内黄奈子的に見て、とても重要な回です。竹内黄奈子的にってなんだよ。
美術科紹介展にて、グループで展示する作品を作ることになった桃音たち。紹介展前日になり、仮病で休んだ黄奈子の絵を、桃音が取りに行く回です。
この回で
- 竹内家がそこそこのお金持ちであること
- 両親は美術品の個人輸入商をやっていること
- 部屋着にネグリジェを着ていること
- 家に黄奈子専用のアトリエがあること(高校入学祝いで作ってもらった)
- 中学のときに、楽そうだからという理由で美術部に入ったこと
- そんな黄奈子を、両親が「黄奈子も美術が好きなんだ」と勘違いし、今の高校を勧めてきたこと(親の熱意に負けて、そのまま入学する)
……というようなことが一気に語られます。1話で黄奈子が秘密にしていた、美術科に入った理由もこれです。眠そうな顔しながらも(失礼)、黄奈子は黄奈子なりに苦悩してたわけですね。そして、「何者にもなれない私」を表現した、暗闇の中にある卵の絵を桃音に見せて、彼女はこう続けるのです。
「あんなに言ってきたんだから 美術科に入れば
もう少し私のこと見ててくれるようになるかもって
期待してたけど
やっぱりお父さんとお母さんは
私より美術のほうが好きみたい
結局何をすればいいのかもわからないし
もしかしたらずっと卵のままかもしれない
それじゃあ美術科に居る意味もない
もういっそ学校辞めてもいいかなって…」
これまで明かされることのなかった、黄奈子の苦悩が語られる貴重なシーンです。黄奈子は笑顔で語っているのですが、これが切ねぇ……。しかしその直後、桃音が黄奈子に鼻みょんをします。黄奈子の十八番であったあの鼻みょんを、今度は桃音が仕掛けるわけです。そして、桃音が黄奈子に泣きながら言うのです。ここ一巻の最エモポイントです。ほんとは漫画で読んでもらいたいけど……引用しちゃう!
「黄奈子ちゃん言いましたよね!?
桃音が美術科に入ってくれて 出会えてよかったって!
私なんかが美術科にいていいのかなって不安だったけど
黄奈子ちゃんがそう言ってくれて
美術科でよかったって思えたんです!
だから… そんな簡単にやめるなんて言わないでください…」
やばくないですか。立場が1話と逆転してるんですよ。超エモ(語彙力なし)。
セリフにもあるように、黄奈子が「桃音と出会えてよかった」と言っていたからこそ、桃音も、黄奈子に対して強い感情を持っていたのだと思うのです。そうじゃなかったら、泣いて訴えかけるなんてことしないだろうと思うので。
さて、ここで問題です。この言葉を受けて、黄奈子はなんと言ったでしょう?
間髪入れずに書いちゃうけど、答えはこれだ!
「……でも、一生懸命な桃音を見て
感動したのは本当だから
学校はやめない けど心から美術が好きとは言えない だから
私が美術を好きになれるまで
美術科に居る理由を「桃音がいるから」にしてもいい?」
ヒュー!!! 尊い……! これこそ百合ですよ。友達という単純な言葉では言い表せない、この関係性! そして再び出てくる、この黄奈子のポテンシャルゥ! 本当に罪な少女だこいつぁ! こんなこと言われて、嬉しくない人はいないね!
学校や職場に通う理由を「好きな人がいるから」にしたことがありますか!? それを、当人に伝えたことがありますか!? 少なくとも僕はないです! しかし、この竹内黄奈子という少女は、それをさらっと本人に伝えたのであります! 素晴らしすぎるぜ竹内黄奈子! そんな関係が羨ましい!
セリフほぼほぼ引用してしまって、こんなこと書くのも白々しいけど、このくだりは是非とも漫画で読んでいただきたい! なぜかって? この時の黄奈子の顔が、普段の眠そうな顔とか、ニヒルな笑みを浮かべている顔ではない、1人の純粋純白な少女としての表情をしてるからだ! マジクソ可愛いので、興味があったら読んでくれ頼む!
……という具合に語ってみましたが、どうでしょうか。改めて見返しても、凄いぜ竹内黄奈子。君はできる女の子だ。イケメン女子の称号を手にするのもそう遠くはない(?)。
もちろん、ここで書いてきたことは、あくまで「どうして私が美術科に!?」を構成する要素の一つでしかなく、これ以外にも尊い話や、美術科であるが故のお話もございます。あの「ステラのまほう」のくろば・U先生が絶賛するほどには面白いので、興味を持った方は、是非とも読んでみてはいかがでしょうか。
現在2巻まで発売中。2巻では、夏休みの課題をやったり(水着回もあるよ!)、文化祭でシンデレラをやることになったり、体育祭があったりと、イベント盛りだくさんでございます。中でもシンデレラのくだりはスーパー尊いので、1巻を読んで、尊い……!ってなった人はぜーーーーったいに読みましょう。竹内黄奈子は、ここでもブイブイ言わせてきますが故、必見です。
あと、2巻の1ページ目の竹内黄奈子が死ぬほどヤバいということも、付け加えて書いておきます。君、そういうキャラじゃなかったよね?ってなります。そういうところでポテンシャル発揮しなくていいから、マジで。グッときすぎて、私はiPhoneの待ち受け画面にしました。
「無愛想で無口な人に見えて
本当は誰より笑顔が素敵な黄奈子ちゃんから
私も目を離せなくて 困ってるんですよ?」
私も目が離せません!!!!! 3巻早く出ないかなぁ!!!!!
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どうして私が美術科に! ? (2) (まんがタイムKRコミックス)
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